眠れない夜の心理学 子どもを守るために

境界・感情・愛着・トラウマティックストレス・うつ・アディクション、認知行動療法…… 眠れない夜に綴ります。

認知行動療法ってどんなアプローチ?①人は「考えたこと」でできている

私たちは頭で考え、心で感じ、体を使って行動し、毎日を生きています。

 

認知行動療法は、人の「認知」「感情」「行動」「身体」という、互いに影響し合う一連のシステムに注目し、介入することで、変化を起こすことを目的とした心理療法です。

 

自己イメージや対人関係の改善、うつや不安、トラウマ症状の軽減など、さまざまな「問題」の解決に役立ちます。

 

人は、自分や自分の周りで起こる出来事を、瞬間的に自分のものさしでとらえ、自分なりの判断を下し、その判断にもとづいて行動を決定しています。

 

物事の善悪を判断し、「したいこと」と「したくないこと」「するべきこと」と「するべきでない」ことを区別することは、人間にとって必要不可欠な精神活動です。

 

私たちの出来事への反応の大部分は、同じパターンの繰り返しす。

 

これまでのさまざまな経験で「学習」し、身につけた( 習慣化した )ものの見方、考え方にもとづいて、その時々に起きることを次々と判断しているからこそ、私たちは、毎日多くのことに対処できるのです。

 

それだけに、ものの見方や考え方に偏りや歪みがあると、状況を適切に判断ができず、人間関係が難しくなり、うつや不安といったネガティブな感情を抱え込んでしまいがちになります。

 

そして、その結果、自分を追い詰めてしまう行動を繰り返してしまうことも少なくないのです。

 

私たちが、自分の周りで起こる出来事を、どう考え、どう捉えるのか(意味づけるのか)は、その出来事や関わっている相手について、また自分についてどう感じ、どう行動するか、その結果、自分や周囲についてどう思うかに直結します。

 

例えば、友だちと会っている時に、”友だちが時計をちらっと見た”という出来事があったとしましょう。

 

その瞬間、「私と話していても退屈なんだ」という考えが頭に浮かぶのか、「時間がないのかな?」という考えが浮かぶのかによって、その時に生じる感情や、その後の行動には違いが出てきます。

 

前者は、友だちの態度を自分の責任だととらえ、焦りを抱き、相手を楽しませなければいけないと考え、一生懸命になり過ぎてしまうかも知れません。

 

友だちと別れた帰り道に、自分ばかり話していたことを思い出して恥ずかしくなり、「どう思われただろう」と思い悩み、ぐったり疲れるかも知れません。それ以降、友人に会いづらくなってしまうこともあるでしょう。

 

そして、それまでにも持っていた「私はつまらない人間だ」という、ネガティブな自己イメージがさらに強化されることになるかも知れません。

 

当の友だちはそんなことはつゆほども思っていないかも知れないのに(多くの場合そうなのです)。

 

認知行動療法では、人の「感情」や「行動」は、「認知」( 現実をどのようにとらえるか、ものの見方や考え方、思考 )の結果だと考えます。

 

私たちは、自分の身に起こった「出来事そのもの」が、悩みを生むと思いがちなのですが、実際に悩みを生むのは、この例のように、出来事そのものではなく、その人がその出来事を「どう考えるか」なのです。

 

前者の「認知」「感情」「身体」「行動」のつながりを図にしてみましょう。

 

 

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このように、人の「認知」「感情」「行動」「身体」は連動する一つのシステムです。

 

誰にでも習慣化した思考や行動のパターンがありますが、私たちは普段はそれを意識することなく生活しています。

 

この「認知行動モデル」を作成することで、普段は意識されることのない慣れ親しんだパターンを見つけ、自分の「問題」を視覚化することができます。

 

自分に起こる出来事を新たな視点でとらえ直すことが可能になるのです。